テスタロッサ:運転席から見るネオクラシックフェラーリの景色はこうだ。~タイトなアクセルとクラッチの重さ編~

前回はフェラーリテスタロッサの運転席から見た、思ったよりも良い視界について書いてきました。今回はクラシックスーパーカーならではの特殊なペダルエリア、そしてスーパーカーといえばこれ!という球体のシフトなんかを紹介していきたいと思います。

前回までのドライバーズシートから見た景色について書いたのはこちら。

テスタロッサ:運転席から見るネオクラシックフェラーリの景色はこうだ。~思ったより良好な視界編~
今回はフェラーリテスタロッサの運転席から見た色々な方向の視界の良さや、クラシックスーパーカーならではの特殊なペダルエリア、そして...つづく

目視は大きく首さえ振ればそれなりに良く見える。ドアウィンドウ後ろの窓が広くて優秀。これならサイドミラーと目視で安心して運転が出来る。

サイドミラーだけではどうしても車体やや後方の真横を走っている車が死角になります。教習所で習うようにどんな車でも一番死角になるのがサイドミラーに映らない、自分の車体後半の真横。複数車線で車線変更しようとしたらそこに車がいてぶつかりました、みたいな事故はこの死角に起因して起こります。

最近の車だと中級以上のクラスは側方センサーがついていて、自分の車体の横に車がいるとサイドミラーに警告ランプがつきます。これ便利ですよね、僕も欲しいですがうちの車には1台もついてません。笑 ただ車線変更を喰らう側として気をつけるようにはしていて、高速でも一般道でも複数車線の道路で相手の車の死角をいつまでも走らないということ。隣の車線と速度が違うならさっさと抜かす、速度が揃ってしまうなら相手の死角より前か後ろにズレるようにしています。

で、テスタロッサの話に戻すと、サイドミラーだけではそれなりに視角があるので目視をするのですが(というか僕はどんな車でも目視をしないと怖くて運転できない)、首を大きく捻って左側を見るとこんな感じ。ドアウィンドウの後方にも小窓がついているのですが、これがあるおかげで斜め後ろが見やすく、目視の視界はかなり良好といえます。

フェラーリテスタロッサの左後ろ後方視界

最近の車は”囲まれ感”とか”座面が低い感”を重視して窓ガラスの天地が薄い(つまりドアの窓ではない壁部分が高い)ので、目視をする上では結構邪魔だったり。それとスポーツカーはサイドウィンドウ後方の小窓が小さいことが多く、これが見づらくしています。

フェラーリテスタロッサの右後ろ後方視界

そしてこちらが右後方を目視したところ。斜め後ろの視界が開けていることに驚きます。もちろんトンネルバックなのでCピラーというかトンネルバックの側面は壁になっていて見えませんが、この部分はサイドミラーで視界確保できる部分だと思います。

実際うちのめぇ(ポルシェパナメーラS)の方が目視はしづらいかも。幅のあるBピラーと厚いハイバックスポーツシート(ヘッドレストと背もたれが一体になって高さのあるシート)に阻まれて死角ができるのと、さらに後部座席のドアウィンドウがスモークの入ったプライバシーガラスなので目視しても見づらいんです。車線変更以外にも、交差点を曲がるときに横断歩道で突っ込んでくるチャリを確認するときにも、この角度の目視がしやすいかが結構重要だと思ってます。

室内も見てみよう!これがこの世代のスーパーカーの”しきたり”であるやたら右に寄ったペダル配置だ。

続いて足元。下の画像を一見すると普通のようですが、これめっちゃ車体のセンターに寄ってます。

昔のカウンタックやフェラーリで有名な話ですが、フロントホイールハウスを避けるようにして配置されたペダルは全体がセンターに寄りまくっていて、僕もそうでしたが初めてシートに腰掛けて真っ直ぐ右足を伸ばして踏んだペダルはクラッチペダルという・・・。なので下半身全体を右方向に向け、左足をクラッチに合わせ右足を奥に突っ込むような感覚でアクセルとブレーキを踏みます。しかし案外運転し始めるとすぐ慣れてしまうので不思議なものです。。

フェラーリテスタロッサのペダル

その時点で結構洗礼を受けるのですが、それより僕が一番びっくりしたのがアクセルペダル。ペダルというより細い棒で、幅は足の1/3ぐらいしかありません。しかもそれが右の壁ギリギリにちょこっと生えていて、最初足で探ったらアクセルペダルが見つからず、覗き込んで「もしかしてコレっすか・・・?」と言ったほど。

そしてまだ癖があって、意図してブレーキペダルを避けるようにアクセルペダルを踏まないと、アクセルペダル回りのスペースが狭いので、ブレーキペダルに足の端っこが当たって踏んでしまいそうになります。なんか大きめのシューズとか履くと運転がキツそうです。だからドライビングシューズって靴底が細身なんだなぁ。

まぁ僕は父親からの譲りで、靴ごとの運転感覚が変わるのを嫌って運転する時は靴を脱ぐので、足元がタイトなテスタロッサでも他のペダルに足が引っかかってしまうことはなさそうです。

フェラーリテスタロッサのペダル

ペダル類のデザインはシンプルで、まぁあんまり高級って感じもないです。せっかくのスポーツカーならアルミであって欲しい気持ちもありますが、時代的にそういったものはナシ。ただ異常に細いアクセルと異なりブレーキとクラッチペダルは面積が広いので特にクラッチは踏みやすい感じがありますね。ケイマンの頃はノンシューズドライバーな僕にとってクラッチペダルを踏むのはまるでツボ押しのよう(ペダル面積が小さく、僕がゴム製のイボ付きアルミペダルに替えていたので)でしたが、テスタロッサは足の面で踏めるのでとても楽です。

そしてブレーキとクラッチのアームが細いのがボキッと折れないのかちょっと不安になりますね。笑

マニュアルシフト、最高だ。球体のグリップ、長いシフトバー、そしてH型ゲート、文句なしに憧れてたスーパーカーのスタイル。

僕が思い描くスーパーカーというのは、シフトの握る部分が完全な球体で、シフトバーは結構長く、そしてブーツではなくH型ゲートなんです。そしてその理想が全て揃っている。もう最高じゃあないですか。

もちろんスポーツカーとしてシフトはショートの方が操作が早いとかありますが、そういうもんじゃないんです。世代やスポーツカーか否かに限らず、できればシフトは球体に近くてHゲートがいいですね。普段エンジンをかけないときでもガレージに行くとなんとなくシートに座って、そのとき必ずこんな感じでシフトに手を乗せてしまいます。

フェラーリテスタロッサのシフトゲート

ちなみに左上がリバース、そして左下から1速が始まる5速MTです。以前乗っていたマニュアル車が左上1速だったのでこれはちょっと慣れが必要でした。もちろんリバースに入れるにはシフトを下に押し込みながらでないとギヤが入らないので、例え間違えてもさすがにリバースに入っちゃうことはありません。

最後にたぶんみんな気になるクラッチ。思っていたより重くなくてポルシェケイマンと同じぐらい!でもミートポイントはやや薄め。

最後に気になるクラッチ。普段AT車に乗ってる人がMT車を購入するときに一番気になるのがクラッチ操作だと思います。思ったより重たいのでは?スポーツカーはシビアなのでは?渋滞ハマるとしんどいのでは?さらにこういったクラシックなスーパーカーだと色々な(根拠があるもの、ないもの両方)噂がつきまとうものです。

クラッチがとんでもなく重いとか、ミートポイントが薄いとか。それと下手だと持って帰ってくる運転で、あるいはローダーに乗せるだけで一発でクラッチを焼いてしまうなんて話も・・・。まぁでも僕は

「バブルの頃にあの運転下手そうな芸能人たちが普段乗り回してたくらいなんだから、自分でも大丈夫だろう!」

と失礼ながら思ってました。でもこう考えると、それなら自分でも大丈夫かも、と思う人は多いんじゃないでしょうか・・・?笑

そして実際は勝手なネット上のイメージから僕が思っていたよりも、クラッチは重たくないというのが感想です。具体的にはたぶんポルシェ987ケイマンSと同じぐらいの感じ。

「クラッチめちゃくちゃ重くて、しかもミートポイント薄かったらどうしよう・・・」

と不安だったのですが、ケイマンと同じぐらいだったので、つまり渋滞でも運転できるということですね!もちろん教習車よりはずいぶん重いですよ、パワーがあるクルマほどクラッチの圧着力を強くしなければ滑っていまい、基本的にはクラッチを切る(圧着を離す)にはその分だけ力が必要になるということです。でも超絶運動不足の僕でも、初めて運転したあとは若干の筋肉痛で済みました。笑

フェラーリテスタロッサ

それとクラッチミート。これはたしかにケイマンよりシビアというかミートポイントがやや薄い感じがします。まだこのクルマに慣れてないからというのもありますが、クラッチを踏んだ状態から足を手前に引いてきて、クラッチが当たり始めてあまり早く足をひくとエンストしますし、薄くあたってる状態でエンストを防ごうとアクセルを踏み始めても思ってたよりエンジンが吹けるばかりで車体の動き出しは重たい感じ。なので信号スタートではクラッチを労ってあまり回転を上げず、半クラでピタッと止めた状態で車体がググっと動くまで粘って待ち、そこから一度クラッチをしっかり繋いで2速に入れています。

トルクカーブは見てませんが、噂では低回転トルクが弱いらしいというこの手のエンジンの特性かもしれませんし、車体が重くて動き出しの慣性が大きいのかもしれませんし、僕が下手なだけかも。笑

でも一度走り出してしまえばシビアなことは一切なく、そして良好な視界と思ったより疲れないシートから、かなり楽に長距離をのんびりドライブできるクルマと言えます。色々な海外雑誌などのレビューにも書かれている通り、運転しやすいGTカーなんだなと感じますね。平たくて四角いリトラクタブルのフェラーリといえど、F355のようにコンパクトでライトなV8マシンとはかなり性格が違うのかもしれません。そう思うとF355も乗ってみたくなっちゃいますね・・・。笑