テスタロッサ:ディストリビューター、通称デスビのメンテナンスをDIYでやってみる。~②イグナイターチェック編~

前回は右バンクのデスビを分解して掃除してきました。では次に左バンク側のデスビも同じように掃除していきましょう。作業内容としては同じなんですが、左側はデスビキャップを外す際にスペースが狭いのが問題です。

テスタロッサ:ディストリビューター、通称デスビのメンテナンスをDIYでやってみる。~①デスビ分解掃除編~
旧車の点火系で重要な役割を果たすのがディストリビューター、通称デスビ、つまりは各気筒に適切なタイミングで電化電圧をかけるための分...つづく

いろんな角度からあれやこれやとアプローチしたのですが、僕の持っている工具だとスペース的にうまく作業ができなかったので、潔く諦めてクーラントのサブタンクを動かすことにします。テスタロッサの場合はクーラントのサブタンクからは同じ方向に2本ホースが生えているので、タンクの固定を外せばホースをつないだまま多少は動かすことができます。

仕方がないのでクーラントが入ったままのサブタンクをずらしてみる。

今回ちょっと手を入れるスペースを作りたいだけなので、中身のクーラントも入れっぱなしで作業してみます。

フェラーリクーラントサブタンク取り外し

サブタンクの外し方は簡単で、10mmのソケットで3か所のボルト固定を外すだけ。1か所だけボルトじゃなくてナットになっていますので、ぽろっとエンジンルーム内に落としてしまわないように注意。

フェラーリクーラントサブタンク取り外し

これでサブタンクは動くようになります。ただ動かせると言っても大きく傾けたり、無理にホースを引っ張ったりするとクーラントが漏れ出てくる可能性があります。なのでちょっとだけ持ち上げる程度にしておきます。

フェラーリクーラントサブタンク取り外し

これでタンクの下に手を突っ込んでデスビキャップの固定ボルトを外すことができました。ちなみに左側のデスビキャップブーツのゴムが結構硬化していたので、おそらく左だけ結構古いんだと思います。割れてきたり破れてしまうようなら交換ですね・・・。

フェラーリテスタロッサデスビローター

やっぱり旧車は経年劣化に弱いゴム類がやられていることが多いので、このあたりは消耗品として仕方がないことです。実際水がかからない限りはブーツの役割はあまりないと思うので、雨禁車ならちょっと破れてても実害がないかも。

でもただのゴム製カバーなのに、買い換えるとなるとめちゃくちゃ高いんだよな・・・

左バンクは一見カスが溜まってないように見えて、端子には酸化した金属粉が付着してる。

ということでこちらもパカッ。一瞬「右バンクよりもカスが少なくてキレイ!」って思ったのですが、確かにカスは少ないものの端子への付着はこちらの方が多いですね。実害をなすのは端子についている部分なので、左バンクの方が点火が通電阻害されているということになります。よーく見るとローター側も、そしてプラグコードに続く端子側もですね。ちょうどスパークが飛んで通電する側にだけ付着しているので、高電圧によって金属が化学反応を起こしてしまうということみたいです。

フェラーリテスタロッサデスビローター

でも以前プラグ部分における点火電圧測定を行った際は左バンクだったと思うのですが、その時は必要な電圧は確保できていたので問題を起こすレベルの状態ではないのかもしれませんね。

テスタロッサ:スパークプラグの点火力をチェックするために、プラグコードの電圧を測定してみる。

フェラーリテスタロッサデスビローター

もちろんそれでも掃除はします。金属をなるべく削らないように、マイナスドライバーでそいでから軽くサンドペーパーをかけておきました。

フェラーリテスタロッサデスビローター

それともうひとつ思ったのがローターの向きです。僕がエンジンの構造をまだまだ理解できていないからなんですが、右バンクはローターが真上を向いていて、つまり一番上の端子に通電している状態。その全く同じ瞬間に左バンクはローターが右を差してるんですよね。なんか勝手なイメージですが、まったく同じ方向か180°ま逆の方向を指しているのかと思っていたので、この45°ずれの状態って正しいんですかね?

左右バンクが独立して別のエンジンとはいえ、クランクシャフトでは左右バンクのピストンが全て一定のルールで接続されているので、点火タイミングも左右バンクで一定のルールで揃っているのかと思っていました。それが45°、つまり1/4ずらした設計ならそれでいいんですが、その半端なズラシで合ってるのかあまりイメージが湧かないですね。まさかデスビローターの取り付け間違ってるとか・・・?万一そんなことだと点火タイミングが大ずれしているってことですよね。

ちょっとこれはわからないのでいったん掃除して元通りに戻しておきました。。

せっかくなのでプラグコード周り全般、イグナイターの接続端子も接触改善しておく。

デスビに電力供給している元をたどると別の部品があります。これがイグニッションコイル&イグナイターと思われます。この接続部分も簡単に状態確認しておきましょう。

フェラーリテスタロッサイグナイター

ひとまず赤いウルトラコードを下方向にスポッと抜きます。錆びたりとかってことはないですね。なのでコンタクトスプレー(接点復活剤)を吹いて指し直すだけにします。プラグとコードの接続部はプラグギャップを調整した際にメンテナンス済みなので今回は割愛。

フェラーリテスタロッサイグナイター

続いて上部にあるコネクター。古い電装なので力で引っ張ると断線しちゃったりしそうです。なのでもちろんコードではなくコネクタ部を掴んで丁寧に外します。

フェラーリテスタロッサイグナイター

錆びてはいないですがやっぱり古い感じはするので、ここにも両側に接点復活剤を軽く吹いて戻しました。これを両バンク分やっておきます。

せっかく点火系統を掃除したのでエンジンをかけてみる。気持ち程度だけどかかりが良い気もする。

さて、掃除自体はこれで終了。一度やり方を理解してしまえば作業自体は簡単なので、また一定の周期で掃除をしようと思います。今すぐ交換しなきゃダメってことはなさそうですが、ローターそのものの交換もいずれ行った方がいいですね。

ということでエンジンをかけてみると・・・エンジンは元気よく目覚めてアイドリングも安定。寒い時期はエンジンのかけたてが渋いことが多いですが、今回はいい感じですね。

まぁ気持ちいつもよりセルモーターの回っている時間が短かった気もしますが、日々のご機嫌ブレ幅の範疇でしょう。元々状態が悪かったというわけではないので劇的な変化ってわけではないですが、僕にとっては点火系統が自分の眼で状態確認できていくことに価値があり、安心感が生まれます。

あとやっておきたいのがエンジンブロックのアーシング。以下にプラグ側の点火電圧が高くとも(測定すればそこまではわかる)、マイナス側の逃げが悪いと点火が小さくなる気がします。なので気持ち程度の効果かもしれませんが、せっかくDIYですし、やれることはやっておく精神でそのうち施行しようと思います。