テスタロッサ:運転席から見るネオクラシックフェラーリの景色はこうだ。~思ったより良好な視界編~

今回はフェラーリテスタロッサの運転席から見た色々な方向の視界の良さや、クラシックスーパーカーならではの特殊なペダルエリア、そしてスーパーカーといえばこれ!という球体のシフトなんかを紹介していきたいと思います。

一般論ですが、スーパーカーって運転しづらいものというイメージがあると思います。ただステアリングがあってシフトがあって各ペダルがある、それは他の車と同じ。もちろんクラッチのミートポイントが薄いとか、パワステがないとかもあるんですが、実際に運転のしやすさに大きく影響をするのは”視界”によるところが大きいんじゃないかと思うんですよね。

テスタロッサはカウンタックのようにストイックな視界ではなく、長距離ドライブに向いたGTカー。前方視界は良好。

まずは前方視界。と言いつつ視界ではなく胸元から見た高さになってしまっていますが、ステアリングとメーターパネルはこんな感じです。

フェラーリテスタロッサのステアリング

やはりパワステのない車なのでステアリングホイールの直径は大きいですね。そしてシンプルなデザインでありながら中心にフェラーリの跳ね馬が鎮座します。

握りが細いところは僕好みです。以前乗っていたぽすけ(987ケイマンS)も握りが細くて最初は「スポーツカーぽくないんじゃ?」と思ったりもしましたが、結果好みに。同じポルシェでもめぇ(970パナメーラS)は握りが結構太いのです。

メーターパネルは今のフェラーリからは考えられないほどシンプルで加飾はナシ。それと今のフェラーリと違うのはタコメーターが垂直針というか、0が真下にない一般的な形です。タコメーターが真下から跳ね上がるのをみるとフェラーリだなという感じがするので、この点も今のフェラーリとは全然違うところ。ただしスピードメーターは320km/hまであって威嚇してくれます。

フェラーリテスタロッサ

そしてフロントガラスから見える景色は広く、何より低くて真っ平らなフロントノーズは一切の視界を遮りません。なので前だけ見て走る分には全くストレスがなく、さらにAピラーも細いので死角がほとんどなく、交差点を曲がるときの横断歩道歩行者も見やすいです。ミッドシップカーはボンネットが低いのでフロント方向の視界が良好ですよね。ただしそれもあってフロントの角張って長いノーズ、この角がどこなのかは全くわからずぶつけるのめちゃ怖いです・・・。これについてはまたいずれ書きたいと思います。

よくミッドシップスーパーカーで絶望的と言われる後方視界。でもテスタロッサの後方視界はめちゃくちゃ良く見える!

バックミラーは乗って見てびっくりするほど視界良好。最近のミッドシップスーパーカーのようにリヤをぐっと高くしたウェッジシェイプではなく、リヤが真っ平に低いのででかいエンジンを積んだミッドシップ車にも関わらず天地の幅が広く見えます。

フェラーリテスタロッサ

そしてトンネルバックというのもあります。一般的にクルマはリヤウィンドウが流線を描いてなだらかに下がっていきますが、トンネルバックというのは垂直にリヤウィンドウが切り立っている構造。車を横からみるとボディラインはルーフからテールにかけてなだらかに落ちていくのですが、それは左右に壁があってそう見えるだけです。

なのでテスタロッサはリヤウィンドウが綺麗にカーブを描いた垂直なガラスです。ここは何度見てもきれいだなと思うポイントでもあります。実際空力的にはあまり良いと思えず、でも勝手な推測ですがトンネルバックにすると負圧でエンジンルームから熱気を吸い抜く効果があるのかもしれません。最近のクルマではトンネルバックがあまり見当たらないのは、こういった構造にしなくてもリヤのエンジンルームから熱を抜く技術が進化したからなのかも。

フェラーリテスタロッサのバックミラー視界

後方視界に話を戻すと、後ろはよく見えるものの、このバックミラーは圧迫感を感じるぐらいに自分の顔の近くにあります。なのでバックミラーを覗くために結構な角度で見上げることにはなります。それはフロントウィンドウがかなり寝ていて広いので、その上端にミラーをつけると必然的に自分の顔の近くに来るってことですね・・・。

バックミラーを見るときは前方から大きく視界を外すことになるので、これは注意しながら運転したいところ。

ちなみにカウンタックリバースって知ってます?ガルウィングを開けてサイドシルに身を乗り出して座りながらバックして駐車するってやつです。それぐらい左右後方視界が悪いということなんですが、GTとしての性格が強いテスタロッサはこの辺り随分運転しやすいようですね。ただテスタロッサも真四角な車体の割に四隅の感覚が掴みづらく、道路を悠然と走っている時はいいけど駐車や狭い住宅街を通るときに気を遣いそうです。もちろんカメラもソナーもついてないわけですから。

サイドミラーは左右外側に大きく迫り出していて見やすいけど、ドライバーに位置が近い分だけ見るのに大きく首を回す必要がある。

サイドミラーの視界はそれほど悪いわけではないのです。こういったボディ幅が広くてシートがセンターに寄っているスーパーカーは、ピラーにそのまま短いサイドミラーをつけるとほとんど自分の車体しか映らなくなります(美しいリヤフェンダーを眺めることはできる)。なので付け根から外側に長く伸びた(張り出した)ミラーになっていた方が車体の左右外側が広く映るようになります。

リヤフェンダーフェチの僕としては自分のフェンダーの美しいラインを眺めながら走りたいところですが、それでは視角が狭すぎるのでなるべく外側を映すように調整をしています。実際の視界はこんな感じ。

フェラーリテスタロッサの左サイドミラー視界

後方は広く映っているように見えるのですが、ちょうど左縁石に立っているポールを見ていくと、運転席の横に生えている2本が見えません。なので車体すぐ横の死角はそれなりにあります。ミラーの面が湾曲して広い角度を映す広角ミラーが欲しくなりますね。

テスタロッサではAピラーのかなり高い位置に、片側だけミラーが付いているモデルが有名です。確かに高い位置に付いていて、しかも外側に大きく張り出しているミラーは見やすいのかもしれませんがデザイン的には好みが分かれるところ。なにより片側だけだとちょっと不便そうです・・・。

フェラーリテスタロッサの右サイドミラー視界

一方で右ミラーはこんな感じ。もちろん左ハンドルの車なので右側のミラーが自分から遠い方のミラーとなります。これも後ろから迫ってくる車は広く捉えられますが、車体後方真横が死角なのでサイドミラーだけを見て車線を変えるのはアカンという感じ。

それとこういった車はフロントウィンドウがかなり寝ている分だけ、取り付け位置によってはサイドミラーを見るのに大きく首を振らないと自分の視界にミラーが入ってこないという運転のしにくさがあります。自分がドライバーズシートに座ってステアリングを握った状態で、サイドミラーが自分の頭よ前方(車体前の方)についているほど首を回す角度が小さくて済みますよね。テスタロッサは結構首を振るなぁという印象です。ちなみにサイドミラーが自分の頭より前についているほど車体横の死角も小さくなります。

次回はペダルやシフト周り、気になるクラッチについても書いていきたいと思います。

テスタロッサ:運転席から見るネオクラシックフェラーリの景色はこうだ。~タイトなアクセルとクラッチの重さ編~
前回はフェラーリテスタロッサの運転席から見た、思ったよりも良い視界について書いてきました。今回はクラシックスーパーカーならではの...つづく