愛車生活:嵐の自動車税シーズンが過ぎた。日本のクラシックカーに対する風当たりはキツい。

5月といえば自動車税の季節でしたが(ブログ書くの遅い)、今年は1月にフェラーリテスタロッサを迎えたことで我が家の自動車税がまた新記録を更新してしまいました。。今回は重税が課される古いクルマ、そして排気量の大きなクルマの自動車税と、クルマの維持費について私見を書いていきたいと思います。

僕はひと世代前というか、僕が子供の頃に全盛期だったクルマに魅力を感じる傾向にあるのですが、しかし日本の自動車税は新車から13年以上経っているとさらに重税を課すという「旧車は海外に売り飛ばすか産業廃棄物にしてしまえ」主義なので自動車税はキツい季節ですね。

総額20万円を超えてしまった。というかテスタロッサ単体で10万円を超えているという。大排気量万歳。

早速ですがうちの今回の自動車税は、

  • ローバーミニ:1.3リッター39,600円
  • ポルシェパナメーラS:4.8リッター88,000円
  • フェラーリテスタロッサ:5リッター101,200円

ということで合計すると228,800円、つまり約23万円です。まぁこれに関して何かコメントするとすれば「ぎゃふん」ですかね。笑 ちなみに自動車税の金額区分は以下のようになっています。

  • 1,000cc以下 29,500円
  • 1,000cc超1,500cc以下 34,500円
  • 1,500cc超2,000cc以下 39,500円
  • 2,000cc超2,500cc以下 45,000円
  • 2,500cc超3,000cc以下 51,000円
  • 3,000cc超3,500cc以下 58,000円
  • 3,500cc超4,000cc以下 66,500円
  • 4,000cc超4,500cc以下 76,500円
  • 4,500cc超6,000cc以下 88,000円
  • 6,000cc超 111,000円
フェラーリテスタロッサのフロント

やはり5リッター級が2台もいるとエグいということですね。それにこうして改めて眺めてみると4.5リッターまでは500cc単位で区分が分かれているのですが、4.5リッターを超えた瞬間から「ええいもういいわ!」と急に区分が粗くなるのも解せないポイントです。。

僕のようにセミクラシックカーというかネオクラシックカーというか、”環境を配慮した結果のターボ”になる前のハイパワーマシン、つまり大排気量マシンが好きな人間にとっては現在の自動車税とガソリン価格は結構維持にとって重たいポイントとなっています。

さらに悪政と言えるのが13年以上経ったクルマに20%の増税を課す日本の自動車税制度。日本は古いものも大切にするような雰囲気をしているが欧州と違い文化遺産に無頓着。

さらに悪いのが13年以上経ったクルマは自動車税が20%増しになるということ。なんで13年なのかも全然分かりませんが、これによって本来同じ排気量区分であるパナメーラSとテスタロッサで大きな金額の差異が発生しています。さらにローバーミニももちろん13年以上製造から経っているので1.3リッターという小排気量でも4万円近い自動車税になっています。これは2リッターターボのBMWミニ(以前所有していたF56 JCW)とほぼ同じ自動車税です。

20%ともなるとパッと見の金額も結構変わってきますし、納付書を見ると不必要に金を取られているようでまぁまぁ嫌な気分になるわけです。しかし特にバブルも過ぎた後の日本車は10年車だろうと10万キロだろうと、普通にディーラーに従って消耗品のメンテナンスをしていればちょっとやそっとじゃ壊れるものではなく、むしろ日本では「なんとなく10年、10万キロを超えると値段がつきづらくなるので」海外に良い値段でどんどん売られていくわけです。そして現地ではまた長い間活躍しているのかもしれません。

自動車税

たしかにクルマに対する環境基準は近年かなり規制が厳しくなっていて、13年も経てばまったくその排ガスのクリーンさは違うのかもしれません。環境だけを見れば最新の小排気量で厳しい環境規制もクリアした、できればEVだけが走っているのが良いように見えますが、一方で誰しもが最新の(かなり効果になってしまった)新車だけを購入できるわけではありません。

そして一説にはそもそも古い車を捨てて新しい車を製造すること自体、製造しないよりも大きな環境負荷がかかるという見方もあります。古い車も全てがキレイにリサイクルされるわけではなく、リサイクルするとゴミは減っても多大なエネルギーを消費して資源を再利用するので環境負荷につながるのもまた事実ではあると思います。そしてそのリサイクルコストを払えないと、結果としてただ廃車は積み上げられたまま朽ちていく状態、あるいは邪魔にならないようプレスされ小さく圧縮されても、結局はそのまま放棄される状態も多いと思われます。

環境ばかりを理由にするが、実際には国内の自動車産業・貿易産業保護の一環として国内在住者の買い替えを促進している側面もあると思う。

とすれば、まぁ少なくとも技術の発展によって色々なことに折り合いがつくまでは、古いクルマを(おそらく)大事に乗っている人の首をあえて絞めるような段階重税を敷く必要はないと思います。ドイツではHナンバー(ヒストリックナンバー)制度があり、古いクルマを大事に乗っている人に対してむしろ税金の軽減措置をとっているのも有名な話です。もちろん工業大国として環境観点以外に歴史的価値も大事にしているのでしょうが、税を軽減しなくともあえて締めつけるような税制を引くことないのにと思いますね。

もちろん狭い国土に人口密度が高い国なので、国の面積に対するCO2排出量が高いでしょうし、グローバルには排出量を抑えていくパフォーマンスを見せなければいけないんだと思います。

ただ実際のところ、日本車は途上国を中心にめちゃくちゃ走っており、テレビの映像なんかを見ているとパッと見「あん?日本かな?」と思うぐらい都市部の道路に映るクルマは日本車比率が高いです。これはつまり”古いクルマでも日本車なら売る先の市場がある”ということを示しており、日本という国からすると廃車にすれば産業廃棄物だが、海外に売却すれば貿易商品、そして日本の産業を守るためにはガンガン新車製造して新車を買わせたいというのが正直なところでしょう。

途上国への産業廃棄物の押し付けとも取れるかもしれませんが、まだ全然使えるものを廃棄せず安価に譲ることは悪いことではないと思いますし、それはwin-winの関係だと思います。ただ日本という国として、国内のCO2排出量を減らすためなのか経済を回すためなのかなんなのかわかりませんが、あえて古いものを長く使っている人間にそれをやめさせるような重税を敷くのは反対。この時期になるとSNS上でJAFの公式アカウントですらこの13年落ち重税に対する反対表明をしているほどです。

趣味としてクルマの購入に高額を投じるならば、行けるところまで大事に楽しく乗っていきたい。

ちょっと愚痴っぽくなっちゃいましたが、これじゃあ多くの車を保有するクラシックカーコレクターはコストがかかるので車検切ってナンバーを外し、保管状態に入っちゃうよなと思います。そんなクルマだってたまには走りたいだろうに。。

趣味車に乗っていて「自動車税が高いから」とか「燃費が悪いから」と言い出す人もいます。たしかに割高ではありますが、一方で僕はあんまりこれには同意できません。というのもそれが100万円以下で購入した格安の古いクルマならまだしも、話を聞いてるとたとえばセミレストアしたオールドランクルだったりそれなりに年式の新しい大排気量車だったり、だいたいそんな安いクルマじゃないんですよね。結局維持費というのは車両価格と相対的に考える側面もあるべきだと考えていて、「じゃあその500万で買った車を二束三文で売ってコンパクトエコカーに乗り換えるんですか?」と聞くならば、だいたいそういう趣味車に乗っている人はNoだと思います。車の趣味をやめるタイミングなら別ですが。

ローバーミニスポーツパック

極端な言い方をすると「自動車税を年5万節約するために今乗っている1000万ぐらいした高額車を降りて、1.5リッターターボのクルマに乗り換えますか?」というとだいたいみんな「それはちょっと」と言うわけです。年間5万円、それが5年乗って25万円。25万円のために大枚叩いて購入した車を別の車に買い替えても、たぶん買い替え金額まで含めたトータルで見てお得(ここではカーライフの充実を指す)にはならないでしょう。もちろんガソリン代も変わりますが、通勤で使っていなければ都心の年間走行距離なんてせいぜい1万キロ/年ぐらいだったりするのかも。

つまり僕はある程度高額を車に投じる(特にスポーツカー)と決めたらな、維持費のことをクヨクヨ考えて乗り渋ったり愛着を削ぐようなことはしないようにしたいなと。そして結局今何に乗っていようと、今乗っている車を大事に長く乗り続けるのが結局安く済むと考えています。だとすれば購入時には大好きで気に入ったクルマを選びたいですね。これも結局自分を納得させるための”こじつけの理論”なのでしょうが、僕はそんな考え方で愛車と付き合っていきたいと思います。