テスタロッサ:Kジェトロニックの吸気量調整スクリューを回して、アイドリング調整をしてみる。これでクラッチを切った時のストールをなくす。

以前に信号などで停車する際、クラッチを切るとエンジンがストールするという症状が発生しました。その時は出かけた先のカフェの駐車場でアイドリング調整用のバルブをいじるという応急処置で問題が解決したのですが、そのとき左右でちゃんと設定を揃えることができなかったので今回改めて作業し直したいと思います。

トラブルが発生した際の記事はこちら。

テスタロッサ:クラッチを切るとエンジンがストールする症状が出始める。~②出先の駐車場でアイドリング調整をする編~
前回まではテスタロッサの初めての不調として、やや高いエンジン回転数からクラッチを切るとエンジンがそのままストールするということに...つづく

Kジェトロニックが全て同じ構造なのかはわからないけれど、テスタロッサにはアイドリングを調整するバルブがある。

テスタロッサはボッシュ製のKジェトロニックという吸気の仕組みが載っており、このKジェトロ自体はこの世代の欧州車では割とメジャーなシステムだったようです。

そんでこのKジェトロ、アクセルを踏んでいないアイドリング状態での吸気量を調整することによってアイドリングのエンジン回転数を調整することができます。ただ構造は機械式で調整スクリューネジの締め具合によって吸気量(隙間の広さ)を調整する仕組みになっていて、けっこうアナログ。これによって走行中クラッチを切ってアイドリング状態になるとき、エンストギリギリの吸気量なのかもう少し余裕を持たせるのか調整できるということですね。

(エンジンヘッドカバーがないのは外して掃除中だったからです・・・)

で、他のKジェトロ搭載車がどうかまではわかりませんが、テスタロッサには左右バンクにそれぞれスロットルバルブが搭載されていて左右独立して吸気を管理しています。吸気(インテーク)周りだけではなく、基本的にこの頃のイタリア車は左右バンクでそれぞれ同じ制御の仕組みが2セット用意されているので、左右それぞれで調整をする必要があります。さらにクラシックカーともなるともちろん左右バンクと周辺機器のコンディションが異なるので、本来は左右それぞれ測定機器で状態を見ながら調整を行うのが理想です。

簡易的に調整するなら左右のアイドリング調整スクリューの開き具合を揃えるしかない。バキュームメーターを使うと結構大変そう。

先ほどアイドリング状態の吸気量を調整すると書きましたが、この調整状態を定量的に知ろうとすると吸気メーター(バキュームメーター)が必要です。もうひとつの指標としてアイドリング回転数が適正範囲かどうか見るんですが、アイドリングは「左右バンクの状態が合わさった結果」なので、つまり左右の吸気状態が揃っているかはわかんないということです。

フェラーリテスタロッサのアイドリング調整バルブ

しかし僕はバキュームメーターを持っていないので、今回は調整スクリュー(ボルト)の回転角度で左右の設定をなるべく揃えたいと思います。ただこれも先ほど書いた通りですが、クラシックカーでは左右吸気機構の状態に差があるかもしれず、同じだけ調整スクリューを回しても吸気量がきれいに揃うかどうかはわかりません・・・

まぁ御託は良いので作業していきましょう。

ひとまず現時点で問題なく走っていた状態の設定値(調整スクリューの回転角)を記録しておく。いざとなったら元に戻せることが大事。

まず最初に「とりあえず応急処置後は問題なく走ってくれている」ので、いったんこの状態を記録しておきます。今回調整をやり直しますが、その結果アイドリング状態の良し悪しによっては元々の設定値と比較をしてどのように再調整するべきかアタリをつけるためです。

こういうところはマメなんですよね僕。

フェラーリテスタロッサのアイドリング調整バルブ

調整スクリューの場所は左右インテークパイプの下の奥・・・つまり頭を低くして覗き込まないと見えません・・・。しかしスクリュー自体は結構大きいので目立ちます。気をつけなきゃいけないのが、エンジンが温間、つまりしっかり温まってアイドリングが安定している状態でこのスクリューを調整するため、この調整スクリューの周りどこに手が触れても火傷します。笑 作業する際は厚手の軍手に、厚手の長袖を着ておくことをオススメします。。

フェラーリテスタロッサのアイドリング調整バルブ

そもそも調整スクリューに回転角の目盛りなどはないので、マジックで印をつけるかワンタイムではマスキングテープなどを貼って起点となる位置をマーキングします。僕はひとまずマスキングテープに1本縦線を入れて調整スクリューから土台にかけて貼ります。そして真ん中を横にハサミでカット。

フェラーリテスタロッサのアイドリング調整バルブ

現在の調整スクリュー回転角で起点をつけたので、そのままゆっくりスクリューを全て閉めます。ネジを締める方向です。強く締めると緩みづらくなるので注意して軽く締め、締まって動かないところで最初の印から何度ぐらい回ったのか記録します。

  • 左バンク:330°
  • 右バンク:240°

でした。先日は出先で適当に回したから全然揃ってないですね。笑

基本は360°ぐらいスクリューを開けるらしいんだけど、最終的には温間時のアイドリング回転数を見ながら決める。

元の状態が記録できたので、調整スクリュー全閉状態でマスキングテープの印を付け直します。これが0°の起点となります。

フェラーリテスタロッサのアイドリング調整バルブ

(上の画像は元々の左の設定値を測定したとき、330°ぐらい)

ここから調整スクリューを開いていくと吸気量が増えてアイドリングが上がっていくのですが、まず基本的には360°ぐらい?回すっぽいです。なのでひとまず左右とも360°回してからエンジンをかけてみて、温感状態でアイドリングがどのぐらいかをタコメーターで確認します。このときは1,100rpmぐらいでした。

テスタロッサのアイドリング規定値は900rpm~1,100rpmと説明書に書かれているので規定値内ですが、上限いっぱいですね。そもそも規定値が一般的な回転数よりも高いですが、なるべくアイドリングは静かにしてほしい(住宅街在住のテスタロッサなので)という願いがあり、もうちょっとアイドリングを下げたいです。

フェラーリテスタロッサのアイドリング調整バルブ

(上の画像は元々の左の設定値を測定したとき、240°ぐらい)

そのため再調整(調整スクリューをもうちょっと締める)をして回転角は左右共通で330°、アイドリングは1,000rpmちょいで落ち着きました。900まで落とすとまたエンストしても嫌ですし、1,000でもたぶん大丈夫だと思うのですが、エンストしそうになるようなら1,100rpmに戻すことにします。もしそうなったらアイドリング回転数が規定値範囲なのにエンストするということで別の原因を探っていく必要がありそうです。。

ということでKジェトロニックのアイドリング調整でした。今回は季節が変わって(おそらく気温が上がって)ストール現象が発生し始めた可能性があり、もしかしたら夏と冬ではちゃんと調整を変える必要があるのかもしれませんね。それはまた寒くなってくれば分かることだと思います。