ちょっと間が空いてしまいましたが、テスラモデルXの試乗編。
今回「モデルXに試乗する」ということでお願いはしたものの、具体的にグレードを伝えていませんでした。そしたらなんと試乗車はP100Dというトップレンジの個体。
元々買うならベースグレードと言いますか、75Dという一番下のレンジを購入しようと考えていました。こちらが本体価格1,097万円ですね。で、P100Dはと言うと、、、
驚愕の1,780万円。0-100キロ加速は3.1秒。スーパーカーですね。。
このページのもくじ。
■最初に結論からいこう。速すぎる。
さて、もちろん有名なのが”ラディキュラスモード”です。要はEVなので早く走る仕組みはシンプルで、
①単位時間にどれぐらいの爆発的な電圧をモータにかけるか
②モーターのパワーがどれほどか
③ホイールスピンを起こさずにいかにトラクションを伝えられるか
大きくはこの3つしかありません。そしてモードチェンジは物理的な変化よりも、電子制御の設定変更感が強いのがEV。ボタンひとつで車の性格が変わるのですから恐ろしいものです。
そして”ラディキュラスモード”では持てる力を全て投入するため、なんとこの巨大なSUVが0-100キロ加速2.5秒になります。このぐらいの速さになるのって、たしかブガッティヴェイロン、シロン、ラ・フェラーリ、マクラーレンP1、、、1億あっても届かない世界。
テスラ以外に2000万円以下でこの速さに到達できる車はないでしょう。これがさらに2.5トンのSUVだというのだから、今後加速で世界を牛耳るのはテスラかもしれません。。
■踏み切れなかった・・・。
僕の試乗コースは休日の市街地なので、基本的には狭い道や混雑した道を走っているので踏み込むチャンスは一度しかありませんでした。大通りではない線路の脇道、そんなちょっとした区間でもわかったことがあります。
「これは最後まで踏み込めない・・・」
今回はラディキュラスモードに入れていない状態での踏み込み。でも異常。そう、異常な加速すぎて最後まで踏み込むには程遠い状況でした。。情けない。。
僕も以前にケイマンに乗っていたので(とはいえあまり0-100速くないんですけど・・・)、それなりに加速には耐性があると思っていたのですが完敗です。その加速感というものが全くガソリン車とは違いました。
例えて言うなら富士急ハイランドのドドンパ。あれはカタパルトを使用してものすごい加速を発生させるジェットコースターですが、まさにそのような感覚。
まずガソリン車は大きなエンジン音とともに加速するので、半分は音による恐怖心だと思うのですが、それがEVではものすごく静かなままタイヤの転がるゴーという音だけが大きくなります。
そしてもうひとつがシフトチェンジが存在しないこと。ガソリン車はギアが切り替わる瞬間に息継ぎができますが、それが存在せずにカタパルトのような絶え間ない加速をする、そこにも速さの秘密があるのかもしれませんね。
■異常な加速性能でも街乗りができる。
速すぎるスポーツカー、あるいはかなりのチューニングを施したチューンドカーは普段乗りでは使いづらいという話もありますよね。マニュアル車だと強化クラッチ操作のシビアさがありますが、僕は結構アクセルのキツさがあると感じています。
ガソリン車はつまるところ、ガソリンの噴射量でエンジンの出力をコントロールしているのですが、液体の量で微妙なコントロールをするのは難しそうですね。これによってアクセルを少しでも触ると車が思ったより加速してしまう、低速で渋滞なんかを走っていると結構ガツンと加速してしまうので扱いづらいのです。
これがMTだとクラッチ消耗につながりますが、半クラッチをうまく使うことで緩やかに発進することができます。逆にATはその辺りのコントロールが電子制御なので、人間の気持ちにピッタリ合った動作とは限りません。
■EVの特性で今までの不便さを打破することもできる。
うちのめぇさん(パナメーラS)も結構渋滞が大変です。アクセルの踏み出しがシビアにならないように半クラッチの時間が長く、2速で発進するようになっているのですが、少し動き出すと急にガツンとクラッチが繋がってグワッと加速します。これがあると低速でダラダラ渋滞するのが疲れるんですよね。。パワーがあるが故の扱いづらさです。
これはJCWのスポーツモードでも同様で、結構踏み始めガクンと進むので低速で走る混雑した道はスポーツを切ります。
でもEVであるモデルXは、アクセルの踏み具合に対して電圧の程度をコントロールしているので、2.5秒の加速を持ちながら低速域でのアクセルをかなりマイルドに設定することが可能です。これが実用性を兼ねている素晴らしいところ。
ちょっとベタ褒めかもしれませんが、本当にこれはすごいクルマです。